ワイアのスタンダード(犬種標準)5 脚

スタンダード(犬種標準)

わかったようなわからないような「スタンダード」(犬種標準)。
その犬種の理想の姿を言葉で表した物です。

ブリーダーと呼ばれる人々は、いかにこの「スタンダード」に近いイヌを作るかを競っている訳です。

しっかし、スタンダードってわかりにくいんですよね。
単語はわかっても、つなげると???だったり。
日本語変じゃね?って思ったり。

そんなスタンダードもやっと脚までこぎ着けました。

 

四肢(リムズ)

前肢(フォア・クォーターズ)
前望すると、肩と頸との接合部分から肩端に向けて深く傾斜しており、見事である。
側望すると、長く、よく寝ており、レイバックしている。
キ甲は適度な筋肉が着いて滑らかである。胸は深いが、幅広ではない。
どの角度から見ても、脚は真っ直ぐで、丈夫な骨は足まで達している。
肘はボディに接し、側面で自由に動く。動いている時には脚は真っ直ぐ動く。

後肢(ハインドクォーターズ)
力強く、筋肉質で、弛みがあったり、極端な角度になってはいない。
短い下腿と真っ直ぐなスタイフル(膝)は非常に好ましくない。

大腿(サイ)
長く、力強い。

膝(スタイフル)
良く曲がっており、内向も外向もしない。

飛節(ホック)
低い位置についている。

中足(リア・パスターン)(メタターサス)
後望すると、垂直で平行である。

「全犬種標準書」(2011年10月現在 第10版)より ※転載の許可をもらっています。

 

実はこの記事、日本語の意味がよくわからないんで書くのが嫌だったんです。

前望すると、肩と頸との接合部分から肩端に向けて深く傾斜しており、見事である。

主語が抜けてないか?これ。
何が見事なんだかわからない。
ずっとずっと悩んでいたのですが、おそらく肩甲骨の事じゃないかと…。

「(肩甲骨は)肩と頸との接合部分から肩端に向けて深く傾斜しており、見事である。」
これだと、意味が通じるんですが、真正面から見て肩甲骨が深く傾斜していることがわかるのかしらん?

側望すると、長く、よく寝ており、レイバックしている。

レイバック…何故ここだけ英語のままなのか?

「側望すると、(肩甲骨は)長く、よく寝ており、後ろに傾いている。」????
これは絶対日本語がへんです!

FCI(国際畜犬連盟)のワイアスタンダードの上記該当部分は以下でした。

Seen from front, shoulders slope steeply down from junction with neck
towards points which should be fine ;
viewed from side, long and well laid back and sloping obliquely backwards.

ちなみに、肩甲骨は45度、寛骨は30度の角度に傾いているのが良いとされています。

肩甲骨が立ちがちな犬種ですから、ブリーディングやトリミングでいかに
寝た肩甲骨を作るかがブリーダーやグルーマーの腕の見せ所です。

イラストにするとわかりやすいですかね?

前足は、肩甲骨が正しい角度で寝ていて、肘から下はまっすぐ。
肘もO脚やX脚ではない。
後ろ足は、大腿と下腿が同じ長さで、膝があるべき角度で曲がっていて、
なおかつO脚やX脚ではない。
中足は短めで、地面から垂直に立っていて、左右も平行。

こんな脚がベストだってことですね。
O脚は可愛く見えますが、スタンダード的にはNGです。

キ甲は適度な筋肉が着いて滑らかである。胸は深いが、幅広ではない。

ワイアは首と背中がはっきりわかれているのはよろしくないとされていて
富士山の裾野のように、肋骨の終わりぐらいの部分まで
キレイに曲線でつながるのが良いと言われます。

「胸は深いが、幅広ではない。」の部分は胸部の形の説明ですね。
ワイアはオーバルチェストと呼ばれる楕円の形です。
パグやブルドッグのようなバレルチェストとよばれる
幅広なのはスタンダードではありません。
また、グレイハウンドのようなスラブチェストとよばれる、幅のとても狭い楕円もNGです。

肘はボディに接し、側面で自由に動く。動いている時には脚は真っ直ぐ動く。

ワイアなどの長脚テリアは上腕骨が他犬種より短いので、前足が少し前について見えます。
なので、横から見た時にテリアフロントと呼ばれる
首下あたりからつま先まで真っすぐ見える立ち姿となります。

あんまりお肉をつけてしまうと肘が開いて
ボディに沿ってまっすぐ動く脚ではなくなってしまいます。
また「側面で足が自由に動く」ために肋骨の1〜4番は幅が狭目になります。

この骨格特長から歩く姿は、前から見ると左右の脚が平行に動き
横から見ると「時計の振り子のような」歩様になり、歩幅はあまり広くありません。

また、足を振り上げるような歩き方ではなく「デイジーカッター」と呼ばれる、すり足っぽい歩き方が良いとされています。

出典:https://pixabay.com/商用無料写真から転載

写真はイングリッシュデイジー。日本語ではヒナギク。
背が低いですね。春の花壇に欠かせないお花だそうです。
このお花を蹴散らして歩くってことですかね。

骨格はとっても大事なんですね~

ご自分の愛犬をじっくりながめてみてください。
どこがスタンダードに近くて、どこがちょっと違うでしょう?
スタンダードとちがっても、世界一可愛い家族なのはもっちろん間違いなし!

でももし「赤ちゃんが欲しい!」となったときは、
健康で性格の良い血筋(性格も遺伝しますよ!)なのは当然の大前提として
自分の愛犬のスタンダードに対して足りない部分を補ってくれそうなお相手を捜すのが、
ワイアファンシャーってもんだと思うんです。

2012/01/12 追記 ~~~~~~~~~

C.K.Terra KnnelのChisatoさんがとっても勉強になる記事を書いてくださいました。
貴重な資料です。
ありがたいですね!

プロの方が、こうしたためになる記事を書いてくださることに本当に感謝します。

(初出:2012年1月03日 2019年2月修正)

 

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